Last-modified: 2008-09-08 16:17:36
防衛・攻撃・カリスマ・帝国の4志向について有効戦術を考察。BtSv3.13準拠。
弓系と火器系ユニットに都市駐留Iと教練I、防壁と城の建設+100%
最も殲滅力の高い戦闘特性である。BtS以降のAIは兵力のスタック運用を重視するようになり、改善の破壊よりも都市攻撃を多く仕掛ける様になった。また騎兵に追加された側面攻撃能力は敵攻城兵器のみの排除を可能にした。両事由により籠城戦術の有効性は無印・WL時代に比して飛躍的に高まり、その本家たる防衛志向指導者らは新たな武王としてシド星に君臨している。
だが同時に潜在能力を出し切るにはある程度の計画性と戦術が求められる特性でもあり、プレイヤーの技量次第で強さが大きく変わる点で上級者向けの感は否み難い。防衛志向を利用した戦術は詰まるところ「敵の嫌がる事をする」という一点に集約されるので、陰湿で残忍な奸雄タイプのプレイヤーに最適と考えられる。
籠城戦術の基本:
- 常備軍として長弓兵などの守備ユニットと騎馬弓兵などの騎乗ユニットを揃えておく。騎乗ユニットは側面攻撃IとIIを優先して取得する。
- 仮想敵を設定し、どの都市に攻め込んで来るか大まかに予測する。国境に近い都市と首都が比較的よく狙われる。
- それらの都市を防衛拠点に設定し、防壁と城を建設しておく。
- 拠点が1箇所であれば守備に適したユニットを集中的に駐留させておく。
- 拠点が2箇所以上ある場合:
- 相互に1ターン以内の移動が可能な距離であれば等分してそれぞれ駐留させる。
- 2ターンの距離であればそれぞれに騎兵対策ユニットを置き、どの防衛拠点にも1ターンで急行できる地点に防衛ユニットを待機させる。
- 3ターン以上の距離がある場合及び敵領土スクエアに拠点が隣接している(開戦ターンに攻撃を受ける)場合は守衛を等分する。
- 戦端は敵から開かせて構わない。AIの侵略はWLまでに比べて威力が5割増しになったが進軍速度は2割落ちている。
- 敵のスタックが向かう先の拠点に援軍を急行させる。AIは一般にスタックを分割しないので1箇所の防備に集中する。
- 敵スタックが拠点に隣接したら側面攻撃付きの騎乗ユニットで迎撃させ攻城兵器を破壊。敵に攻城兵器が無ければこの手順は省く。
- 作戦の全てが適切に遂行されていれば敵の自殺突撃を眺める時間が始まる。彼我損耗比が1:6より悪ければ何か重大な見落としがあるはず。
- 敵は主力部隊を失った。このまま反撃に転じても良し、講和で金銭をせしめても良し。
プレイレポ:ローマを継ぐ者で籠城戦術を使用しているので参考になれば。
近接系と火器系ユニットに戦闘術I、兵舎とドックの建設+100%
最も汎用性の高い戦闘特性である。兵力の主軸である近接系と火器系ユニットに基本的な昇進が追加されるので全体的な戦力が底上げされる。癖の無いボーナスでプレイヤーに特定の戦術スタイルを強要せず、初心者にも熟練者にも安定した志向だ。ライフル兵に籠城をさせても良し、軍事教官都市で精鋭海兵隊を生み出しても良し、大量の斧兵でラッシュをかけても良しと戦争のどんな局面でも利用できる。
ただし汎用性に優れる分爆発力の点では防衛志向に一歩譲り、戦争から利益を得るという点では帝国志向やカリスマ志向にやや引けを取る。戦力強化で得た優勢をいかに勝利へと繋げるかが鍵だろう。
また戦争4志向の内最も野戦を得意とする志向なので、自国領内で敵を迎撃して偉大な将軍を多数誕生させる作戦が有効。教官として1つの都市に定住させれば少数精鋭、多数の都市に士官学校を建設すれば人海戦術が可能になる。攻撃志向が提供するのは「戦場での優勢」であるため、負けん気の強い脳筋大王タイプのプレイヤーに最適と考えられる。
迎撃戦の基本:
- 厭戦感情は他国文化領域での戦闘でのみ増加する。また現在の所有権でなく歴史的な文化の蓄積が重視されるので占領地での戦闘は自国であっても厭戦の原因になる。
- 偉大な将軍ポイントは戦闘で自分のユニットが獲得した経験値に比例して増加する。自国領内での戦闘は将軍ポイント+100%。
- 戦闘による獲得経験値は攻撃時4、防御時2を基本量とし戦闘オッズが有利なほど減少する。端数は切り捨てられるので防御時の獲得はほぼ1である。
- 上記3点により、自国領土での攻撃即ち迎撃が有効戦術として浮上する。
- あらかじめ自国領内の隅々に道路や鉄道を敷設しておく。森林とジャングルは出来れば伐採し、用途の無い土地には要塞を建設する。
- 基本は引き撃ち。敵が自国拠点に隣接するのを待って攻撃を仕掛け、自ユニットが拠点内で行動終了できるよう図る。
- スタックに対する攻撃は道路や鉄道と無関係に攻撃対象地形の必要移動力を消費する。
- 利用可能な道路上にいる単体ユニットに攻撃を仕掛ける場合は道路分の移動力しか消費しない。鉄道も同様。
- 都市駐留の昇進は要塞に駐留する場合にも適用される。必要なら要塞に守衛と衛生兵を送り込んで前線拠点とし、迎撃ユニットの帰還先として活用する。
- どんな場合でも傷ついたユニットを敵の移動範囲内に孤立させない。止むを得ない場合は同スクエアに救援ユニットを送り込んで護衛する。
- 敵の傷ついたユニットを可能な限り追撃する。騎兵であれば追撃後に安全圏まで退却出来る可能性が高い。
- 文化圏外の要塞は利用できない。森林・ジャングルと要塞は共存できる。要塞には4機までの航空機と無制限のミサイルを配備できる。
- 戦争中であっても隙を見て道路を修復する。護衛を付けておけば騎兵に労働者を拉致される心配は少ない。
ユニットの昇進に必要な経験値-25%、幸福+1、モニュメントと放送塔から幸福+1
最も少数の兵で戦える戦闘特性である。必要経験値の割引は軍事教官の集中定住との組み合わせで真価を発揮し、数倍の敵と渡り合えるだけの精鋭兵を早くから生産可能にする。この少数精鋭がもたらす利点は主に2つ。1つは軍事都市以外でユニットを作る必要があまり無くなるのでハンマーを他の用途に使える事。もう1つは維持費や厭戦が同等の戦闘力をもつ人海戦術編成に比べてはるかに抑えられる事である。
またカリスマ志向は海軍における優位も大きい。ドックがあれば即座にレベル3の船舶ユニットを生産できるので戦闘オッズは常に有利であり、輸送艦に航海術Iを付けて送り出せるので機動力も整う。
だがその一方徴兵などの人海編成には不向きで、多数対多数の大決戦になれば攻撃志向や防衛志向ほどの迫力は無い。また少数精鋭軍団は巧みに使えば数で倍する敵を圧倒できるが、何も考えずに突撃すると負傷したユニットが敵の新手に襲われて壊滅する以外の結果は期待しにくい。つまり防衛志向と同様上級者向きであり、戦術スタイルも拘束するので使いにくく強力と言うべき特性である。
この志向は4つの内で最も攻城戦に適しており、僅かな被害で堅城を落とす力を秘めている。少数精鋭は長期戦に強く短期決戦に弱いので貴重なユニットを守りつつ腰を据えて戦おう。カリスマ志向が提供するのは「小さな軍備で大きな戦果」であり、貧乏根性の染み付いた小貴族タイプのプレイヤーに最適と考えられる。
攻城戦の基本:
- AIは手持ちの兵力を「駐留部隊」と「自由戦力」の2つに分けて考える。駐留部隊は各都市に張り付いて奇襲に備える役、自由戦力は侵攻や機動防衛の役を務める。
- 攻城戦を始める前に敵の自由戦力を可能な限り減らしておく事。勝敗だけなら籠城、領土保全や将軍の獲得も考えるなら迎撃戦で殲滅する。
- 攻略対象都市を定めたら時間を無駄にせず急いで進撃する。孫子は「兵は拙速なるを聞くも未だ遅巧なるを聞かず」と書き、ナポレオンが「最も愛した経路は最短経路」であった。
- 都市防御力の破壊は砲艦>スパイ>攻城兵器の順で適任である。
- 昇進は可能な限り戦闘の直前に最適な物を取得する。
- 均質な軍団は攻撃に適し、多様な軍団は防御に適している。
- 戦闘術は多くの場合最適な昇進である。
- 戦力集中により局地的な兵数で上回り、無傷の部隊のみを戦わせる。
- 勝てる時に大きく勝とう。降伏まで攻め切らないと後で厄介な存在になる事もある。
偉大な将軍ポイント+100%、開拓者の生産+50%
最も好戦的な戦闘特性である。偉大な将軍を誕生させる条件はとにかく戦闘を重ねて経験値を獲得する事であり、終わりなき激闘の中でこそ帝国志向の真価は発揮される。また他志向の場合領内での戦闘と領外での戦闘における偉大な将軍ポイント獲得率比は2:1だが、帝国志向の場合は3:2になる。言い換えれば他国へと進撃する動機が相対的に強いのだ。
BtSで士官学校の建設に軍事学の技術が必要になりやや窮屈になった感はあるが、そもそもルネサンス以前の貧弱な経済力で全都市ユニット量産などすると財政破綻は免れ得ないのでどの道適時とも言える。将軍の集中定住による精鋭作戦はカリスマ志向に比べるとやや効率が悪く、士官学校の大量建設こそこの特性を最大に生かす道だろう。
数において勝る事から4志向の内で最も核戦争に適しており、勝利への道は死体で舗装されていると言っても過言ではない。帝国志向が導く先は「終わりなき戦い」であり、流血を至福とする暴君タイプのプレイヤーに最適と考えられる。
核戦争の基本:
- 必要な物は大量のハンマーと全てを終わらせる覚悟。核戦争後も世界が存続すると期待してはいけない。
- 科学技術は核分裂・ロケット工学・内燃機関・無線通信まで研究すれば足りる。通常戦力は無意味だ。
- 地理的条件に合わせて核陸軍と核海軍を編成する。敵と海を隔てていれば核海軍のみ、内陸なら核陸軍のみ。
- 核陸軍には戦術核と騎兵を7:1の割合で供給する。ミサイルの射程が足りなければ国境近くに要塞を築いて配備する。奇兵隊の昇進を持つ騎兵がいると役立つ。
- 核海軍は戦術核と潜水艦と輸送艦を9:3:1の割合で配備。艦船は航海術の昇進を優先する。空母がある場合は偵察用に1隻混ぜる。
- 作戦発動の直前にスパイで敵都市の核シェルターを破壊しておくとミサイルを節約できる。
- 核戦争は巨大な不幸の源泉になる。ラシュモア山・刑務所・警察国家で備えておく。
- 宣戦布告は自分から行い、1ターンで敵の戦力を殲滅すること。反撃余力を残してはいけない。「敵を残すな、復讐される」とはシャカの言である。
- 戦術核がSDIを突破する確率は62.5%。シェルター内の守備兵を全滅させるには3~4発の核が炸裂すれば良い。
- 都市を占領したら潔く破壊する事。叛乱より世界が先に終わる。
- 核攻撃は1発ごとに対象国との関係を-2、その友好国との関係を-1する。一度最終戦争を始めたら途中で引き返すことは出来ない。
- 全ての他人を消滅させよ。
プレイレポ:激闘の大地の最後に核戦争の実例があるので参考になれば。
以上、4つの戦争用特性について簡単に論じた。それぞれ一長一短がありプレイスタイルとの相性も絡むので単純な優劣は付け難く、結局どれを選ぶかは人それぞれという結論に達さざるを得ない。聖杯を探して色々な指導者を試してみるのが一番だろう。その際、是非ペルシャの大キュロスで戦争をしてみて欲しい。帝国・カリスマ志向の生み出す超精鋭部隊の力に驚くはずだ。