遠藤さん

その他/遠藤さん
Last-modified: 2013-12-07 23:05:06

遠藤さん †

Civilization4(Civ4) Vol.192
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/game/1290959849/

本文 †

427 名前:名無しさんの野望[sage] 投稿日:2010/12/10(金) 23:09:52 ID:QO8kZr57

物置から古いカタパルトが出てきた。俺が昔作りためたものを母親が取っておいたらしい。
結構な数なのに物好きなことだと苦笑しながら、なにか暖かい気持ちにになった俺は
今度母親になにかプレゼントでもしようかと考えながら物置の戸を閉めた。
息子のたかしはそれを見ていたのだ。
職場に妻から電話があり錯乱して要領を得ないので上司に頼んで早退すると
隣の遠藤さん宅がうちの物になっていた。
たかしがカタパラッシュをしたらしい。
いまどきカタバで落ちる家とかどんなホームセキュリティだよと思いつつふと外を見ると
遠藤さんが腰みのに棍棒をもって真っ赤な顔でこちらに走ってくる。
カタパいらなかったなたかし、と思いつつとにかくご近所付き合いもあるし急いで和平交渉。
遠藤さん宅を返還すると遠藤さんは嬉しそうに町内地図を差し出した。
正直いらなさすぎるが、断るのも失礼なのでもらっておいた。
肝心のたかしはどこかと妻にたずねると、泣きながら分からないという。
とにかく探すしかないと家を飛び出した瞬間、あの嫌なラッパが鳴り響いた。
急いで音のしたほうに向かうと、高台にある斉藤さん宅に斧を片手に嬉しそうに
スタックを横付けするたかしが見える。
いかん、たかし!斉藤さんは代々長弓兵を営むお宅だぞ!

斉藤さんが誇らしげに大将軍を連れて駅前を歩いていたと聞いたのは
たかしの葬儀が終わった次の日だった。


433 名前:名無しさんの野望[sage] 投稿日:2010/12/11(土) 01:49:15 ID:bHnm+cHg

あれから2年たった。
隣の遠藤さんは今日も腰みので出勤している。いいかげんアップグレードしたいが
銅が無くてと笑っているが、お前は我が家に宣戦布告したのだぞ(-3)はしっかりついている。
斉藤さんとは趣味で偉大な調停者をしていた私の上司が間に入ってあの後すぐに和平した。
同じ寺の檀家なので今では親しみ状態だ。
こっちはちっとも親しんでないが。
妻は最近駅前のカルチャースクールでカバーの昇進をつけた。
実家がオスマンなので今度のお盆帰省したときにイェニチェリになるという。
大将軍付斉藤さんに弓特攻だけでは不安なので私も休日を利用して騎士になった。
いよいよ明日にでも宣戦しようかと妻と話しているとインターホンが鳴った。来客だ。
やってきたのは、なんと斉藤さんの息子だった。家業を継ぐ為に実家に帰ってきたという。
帆走を差し出しつつ、どうやら助けが必要なようだな、などとご満悦の様子だ。
私は屈辱に震えつつそれを受け取り、去っていく彼をただ見ていた。

彼は機関銃兵だった。


450 名前:名無しさんの野望[sage] 投稿日:2010/12/11(土) 12:52:45 ID:bHnm+cHg

今年はたかしの七回忌だ。
いろいろあって遠藤さんは今ではうちの属国になっている。
それをいいことに最後まで腰みのでとおすらしく、遠藤さんは近所の子供に人気だ。
浮いたハンマーで結構贅沢をしているらしく、趣味で作ったヒット曲などを
ご近所に配ったりしている。以前伺った時、庭にエッフェル塔があった。腰みのなのに。
斉藤さんには結局宣戦できなかった。
息子さんが結構なやり手だったらしく、今では斉藤さん宅上空に戦闘機が輪をなしている。
今日も息子は手一杯ですよ、と斉藤さんはいつも笑っている。
妻はまだ諦めていないらしく、町内会の核拡散防止条約にひとり反対したそうだ。
私は正直心が折れていて、妻に内緒でこつこつ作っているインターネットが完成したら
彼女にアルファケンタウリに転居する話をしてみるつもりだ。
機械化歩兵のパンフレットを熱心に見る妻をなんとなく眺めていると来客があった。
遠藤さんだ。どうやら回覧板を持ってきたようだ。
回覧板とは珍しいですね、と言うと遠藤さんはなぜか照れくさそうに笑い、世間話もそこそこに
すぐに退散してしまった。変な人だな、と思いつつ私は回覧板に目を落とした。

遠藤さん文化勝利のお知らせだった。

コメント †