山月記

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Last-modified: 2013-12-07 23:04:28

山月記 †

Civilization4(Civ4) Vol.236
http://anago.2ch.net/test/read.cgi/game/1338464713/915
「山月記」 中島敦
青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/cards/000119/files/624_14544.html)より

本文 †

隴西の李徴は博学才穎。
開始100ターンの末年、若くして名を歴史家の評価に連ね
ついで偉大な指導者に補せられたが、性、狷介自ら恃むところ頗る厚く
官吏に甘んずるを潔しとしなかった。
いくばくもなく奴隷制を退けた後は、半島に帰臥し、
人と交を絶って、ひたすら遺産建造に耽った。
属国となって長く膝を俗悪な指導者の前に屈するよりは、
詩家としての名を死後百年に遺そうとしたのである。
しかし遺産は容易に完成せず収支は日を逐うて苦しくなる。
李徴は漸く焦躁に駆られて来た。
この頃からその容貌国力も峭刻となり出力落ち骨秀で眼光のみ徒らに炯々として、
曾て蛮族都市に斧Rした頃の豊頬の美少年の俤は何処に求めようもない。

数年の後、貧窮に堪えず、市民の衣食のために遂に節を屈して
再び東へ赴き一地方官僚制を奉ずることになった。一方
これは、己の詩業に半ば絶望したためでもある。
曾ての隣人は既に遥か高位に進み彼が昔鈍物として歯牙にもかけなかった
その連中の助けを必要とせねばならぬことが、往年の儁才李徴の自尊心を如何に傷けたかは、
想像に難くない。彼は怏々として楽しまず、狂悖の性は愈々抑え難くなった。

中世の後、公用で入植に出、近代のほとりに至った時
遂に発狂した。
或夜半、急に顔色を変えて都市から剣士を取り出すと
何か訳の分らぬことを叫びつつそのまま外交画面を開いて
丘陵長弓の前へ駈出した。

彼は二度と戻って来なかった。
附近の山野に斥候を送っても、何の手掛りもない。
その後李徴がどうなったかを知る者は、誰もなかった。

コメント †